「剣客商売も」、この十六巻の「浮沈」で期せずして最終巻となります。
最初の構想では、秋山小兵衛は九十三歳まで生きることになっていましたが、
この物語の大部分は、小兵衛六十六歳から翌年にかけてのものになります。
私を驚かせたのは次の作者の言葉です。
「おはるは、小兵衛より四十も年下で、健康そのもののような女であったがあの世へ旅立ったのは、おはるの方が先である。」
え!これは一体!?
そして驚きの結末へ!
【主な登場人物】
正直言って、独身の頃の三冬と杉原秀が好きです。
■秋山小兵衛 かつての高名な剣客、今は隠居して郊外におはると住んでいる
■秋山大治郎 秋山小兵衛の息子。剣術道場を開いているが門弟は殆どいない
■おはる 小兵衛の下女であったが小兵衛に手をつけられて妻となる
■三冬 老中・田沼意次の隠し子で、女剣士。秋山大治郎の妻となる
■田沼意次 時の最高権力者で老中。三冬の実父
■弥七 小兵衛の剣術の弟子で、四谷伝馬町の御用聞き。女房は、料理屋を経営
■小川宗哲 小兵衛の友人で町医者
■傘屋の徳次郎 御用聞きの弥七の子分
■又六 鰻の辻売りをしている。素直で実直な男
■横山正元 牛込の早稲田町の町医者、無外流の剣術を遣う
■杉原秀 杉原左内の娘で、根岸流手裏剣の達人
【浮沈】
詳しく書きませんがネタばれ注意です。
話は二十六年前にさかのぼる、
秋山小兵衛の門人・滝久蔵は、父の敵の木村平八郎と立ち合っていた。
小兵衛は、助太刀として強敵・山崎勘介と死闘を繰り広げた。
やっとのおもいで相手を倒した時、滝久蔵もまた相手を切り伏せていた。
当時小兵衛は、人相の悪い金貸しの平松多四郎から金を借りていた。
そして現在小兵衛は、まったく別人になってしまった滝久蔵をみて驚く。
滝久蔵と平松多四郎、それに加えて山崎勘介の息子・勘之助との不思議な縁が物語を紡ぎだす。
「剣客商売 浮沈」年譜
書籍名 | 発表月 | 表題 | 出版社 |
---|---|---|---|
剣客商売第十六巻 浮沈 | 1989年2月 | 浮沈(長編) | 新潮社、新潮文庫 |