「女なぞという生きもの正体は、着物の上からではわかるのものではない。」

まさにその通りかもしれないですね💦
今回は秋山小兵衛を通して、池波正太郎の女性観を述べているようです。
第九巻では、いろいろな女性に翻弄される小兵衛が描かれていて、ちょっぴり笑ってしまいました。
様々な女性の中で、私は三冬のファンなんですが、大治郎の妻となってからは、出番が非常に少なくなって残念なんです。多分皆さんもそうだと思いますが。
【主な登場人物】
■秋山小兵衛 かつての高名な剣客、今は隠居して郊外におはると住んでいる
■秋山大治郎 秋山小兵衛の息子。剣術道場を開いているが門弟は殆どいない
■おはる 小兵衛の下女であったが小兵衛に手をつけられて妻となる
■三冬 老中・田沼意次の隠し子で、女剣士。秋山大治郎の妻となる
■飯田粂太郎 飯田平助の子。秋山大治郎の唯一の門人
■田沼意次 時の最高権力者で老中。三冬の実父
■生島次郎大夫 田沼家の用人
■弥七 小兵衛の剣術の弟子で、四谷伝馬町の御用聞き。女房は、料理屋を経営
■文蔵 弥七と親交がある御用聞き
■小川宗哲 小兵衛の友人で町医者
■傘屋の徳次郎 御用聞きの弥七の子分
■又六 鰻の辻売りをしている。素直で実直な男
■植村友之助 かつて秋山小兵衛の弟子で、逸材といわれた男
■為七 知的障害の中年のかわいそうな男
【待ち伏せの目次】
1.待ち伏せ
秋山大治郎は、暗闇の中に誰かが待ち伏せている気配を察した。「親のかたき・・・」と切りかかってきたが、人違いだと分かると逃げ去った。
その事が頭を離れない大治郎は、妻の三冬が身ごもった事にも気が付かないのであった。
2.小さな茄子二つ
秋山小兵衛のかつての愛弟子・落合孫六は、義弟の上総屋清兵衛の代わりにお金を受け取りに行くことになった。清兵衛が博奕で借金をつくり、その胴元から、低利でお金を貸してくれる絵師を紹介されたのだった。
しかし、孫六は、不覚にも突然襲われお金を奪われてしまった。
3.或る日の小兵衛
夜半に目覚めた秋山小兵衛は、なにやら気配を感じて外を見た。
(や・・・・?)
白い着物をまとった女が、立っていたのだった。それが初めての女性だった「おきね」だと確信した小兵衛は、次の日おきねのもとに行ってみる事にした。
しかし、その日は、行く途中で様々な厄介ごとに巻き込まれるのだった
4.秘密
秋山大治郎は、酒に酔った四人の無頼浪人にあくどい悪戯をされかけていた小娘を助けた。
それを見ていた侍から、五十両で殺しを頼まれる。
大治郎は、少しも卑しげなところがないこの侍に興味を持つ。
しかし、その相手の名が滝口友之助だときいて顔色を変えた。
5. 討たれ庄三郎
〔鬼熊酒屋〕の亭主・文吉が秋山小兵衛のもとに連れてきたのは、黒田庄三郎であった。
その庄三郎を小兵衛は、見おぼえていた.
庄三郎の頼みとは、自分の死にざまを見届けて欲しいという事であった。
6. 冬木立
そうじゃ、あの時も雷が、ひどく鳴っていた・・・秋山小兵衛は、すっかりわすれていた或る娘のことを思い出した。
そして、その少女が働いていた店に立ち寄ってみようと考えた。
訪ねた店は、三年前の面影はなく、すさんでいたのだった。一体何があったのだろうか。
7.剣の命脈
死期が近づいてきたと悟った志村又四郎は、秋山大治郎と真剣をとって立ち会いたいとの思いを抑えることが出来なくなった。
そして、愛刀の備前忠吉と共に屋敷から姿を消した。
一方、秋山大治郎は、植村友之助が病にかかったと聞いて、父・小兵衛のかわりに様子を見に出かけていたのだった。
「剣客商売 待ち伏せ」年譜
書籍名 | 発表月 | 表題 | 出版社 |
---|---|---|---|
剣客商売第九巻 待ち伏せ | 1977年3月 | 待ち伏せ | 新潮社、新潮文庫 |
剣客商売第九巻 待ち伏せ | 1977年4月 | 小さな茄子二つ | 新潮社、新潮文庫 |
剣客商売第九巻 待ち伏せ | 1977年5月 | 或る日の小兵衛 | 新潮社、新潮文庫 |
剣客商売第九巻 待ち伏せ | 1977年6月 | 秘密 | 新潮社、新潮文庫 |
剣客商売第九巻 待ち伏せ | 1977年7月 | 討たれ庄三郎 | 新潮社、新潮文庫 |
剣客商売第九巻 待ち伏せ | 1977年11月 | 冬木立 | 新潮社、新潮文庫 |
剣客商売第九巻 待ち伏せ | 1977年12月 | 剣の命脈 | 新潮社、新潮文庫 |